”統合医療”と聞いて思うところ

統合医療に関する本を2冊読みました。

①「統合医療とは何か?が、わかる本」 山本竜隆ほか著 2012年

②「癒やす心、治る力」 アンドルー・ワイル著 1995年

 

皆さんは統合医療と聞いて何を思い浮かべますか?

ほとんどの方は東洋医学など、西洋医学以外の医療なのではないかと想像します。

しかし、統合という言葉が物語っていますが、本来の統合医療とは西洋医学東洋医学もその他もすべてをひっくるめた医療のことです。

 

1月に統合医療セミナーに参加する機会があり、事前知識を入れておかなければと思い①を読みました。①はアリゾナ大学統合医療プログラムを修了された先生方が書かれた本ですが、その中で彼らの師匠であるアンドルー・ワイル先生の②の著書を皆さんそろっておすすめされていたので、②も読んでみました。

 

感想は…

”西洋医学vs統合医療”という図式がまだまだ強いな、です。

 

私は学生の頃に日本統合医療学会などに参加して、西洋医学と補完代替医療を結びつけようと努力している方々がいることを知りました。これには私も賛成なのですが、一部には西洋医学を敵と考えている方もいました。

いろんな意見がありすぎて、何が統合医療なのかを自分の中で消化しきれていませんでした。

そんな理解の悪い私にもわかりやすい説明が①にありました。

統合医療医はコーディネーターとして、一人ひとりの患者の診療情報を西洋医学と補完代替医療の、情報の壁を超えて共有させるパイプとしての役割を果たします。」

つまり統合医療とは、様々な医療をコーディネートする役割を持つものということですね。

このコーディネーターという言葉のおかげで腑に落ちました。とてもわかりやすい説明です。

現代医学で大成功している西洋医学ですが、欠点もそれなりにあります。

①は西洋医学を基本としながらも欠点を補完代替医療で補ったり、場合によっては補完代替医療を中心として西洋医学も組み合わせるというスタンスをとっています。

なるほど、とても中立的で理にかなっています。

ただ、ところどころで西洋医学への批判が目に付きました。これは補完代替医療を説明する際に仕方のないことではありますが、読者にきちんとした知識がないと西洋医学vs統合医療という誤解を与えてしまうなと感じました。

②では、西洋医学vs統合医療の図式がより顕著です。ワイル先生の原著が出版された1990年代当時は、西洋医学のペシミズムが問題視され始めた時代なので、インパクトのある本にするには仕方なかったのかなと思います。

 

統合医療の本来の意味である、様々な医療のコーディネートが適切にできる医師がどれだけいるでしょうか?

私は整形外科医として、少なくとも運動器の分野では統合医療を実践したいと夢見ています。それが患者さんのwellnessに貢献すると信じています。狭い分野で統合医療というとそれは本来の意味と違うとツッコミを受けそうですが…

 

今日はこの辺で。また次回。